水溶液の性質(マローブルーの指示薬)

単元

水溶液の性質

目標

水溶液の性質を調べる指示薬にもハーブティーとしても使われるマローブルーの色素を用いて、身の回りで使用されているものを溶かした水溶液には、酸性、アルカリ性及び中世のものがあることを捉えることができる。

  • 教員向け
  • 児童生徒向け

準備:

材料名補足数量
24 穴プレート 例えばアズワンVTC-P24 1個
2mL スポイト 例えばポリスポイト(三商93-1851 1個
25mL チューブ 例えばIWAKI遠沈管(水 20mL 入れておく) 0.2g
マローブルー(ハーブティー) 例えば実験用マローブルー(チャック付袋(10cm×14cm 程度)に入れておく)
ワークシート 1枚
下敷き用シート 1枚
試薬 クエン酸、食塩、グラニュー糖、重曹、草木灰) (100円ショップDAISOの積み重ねられるスタッキングケースやラウンドケースが試薬がこぼれず便利 1セット
マドラースプーン スタッキングケースを使った場合 5本

観察・実験:

題目内容画像所要時間
1.リトマス紙の働きについて思い出す 「リトマス紙以外でも水溶液の性質を調べられるだろうか」
2.指示薬の作製1 25mLチューブに洗ビンで20mLの水を加える。チャック付袋に入れたマローブルー3花(約0.2g)に水20mLを加え、放置する。
<道具>
マローブルー(チャック付袋入り)、25mLチューブ、洗ビン(水)
<備考>
道具を各班に渡し、各自に1つずつのものと、各班で共有するものを確認
10
3.なぞの粉*の観察 24穴プレートを下じきの上に置き、上2段に5種類(A-E)のなぞの粉を少量(耳かき1杯程度)加え、黒い下敷の上に置く。なぞの粉を観察し、「粉の特ちょう」に記入する。
<道具>
24穴プレート、下じき、試薬(なぞの粉)、マドラースプーン、試薬
<備考>
*試薬の名前をふせて実験する
時間がある時は虫眼鏡、実体顕微鏡等を使って観察してもよい
15
4.2段目のなぞの粉に水を加える 2段目に入れた粉にスポイトで水を1mLずつ加え、かるく混ぜる。液の様子を観察して、「液の特ちょう」に記入する。
<道具>
スポイト、プラビーカー(水)
<備考>
スポイトで水を入れる時、スポイトの先が粉に触らないよう注意
Eは溶けないので水溶液にならない
5.指示薬の作製2 チャック付袋から、液(マローブルーの指示薬)だけチューブに移す。
<道具>
25mLチューブ
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6.3段目に指示薬を加える 3段目にマローブルーの指示薬をスポイトで2mL ずつ加える。
<道具>
スポイト
7.なぞの粉の水溶液に指示薬を加える 3段目の指示薬を2段目(粉+水)に1mLずつ加え、観察する。ワークシートの色見本と比較し、なぞの粉の正体を予想する。
<道具>
スポイト
8.なぞの粉の正体 A:クエン酸、B:グラニュー糖、C:塩、D:重曹、E:草木灰
酸性やアルカリ性には色の幅で示される「強さ、程度」がある。
<備考>
時間があれば、使っていない穴を使って、自由に実験してもよい
9.まとめ 「マローブルーの指示薬で酸性やアルカリ性などを調べた」

豆知識:

  • リトマス紙の原料であるリトマスゴケは地中海の沿岸部に生息する苔植物(地衣類)である。
  • リトマスゴケが持つアゾリトミン色素は水溶液の性質によって構造変化とともに、色が変化する。
  • マローブルーはウスベニアオイというアオイ科ゼニアオイ属の多年草。花は乾燥させてハーブティーとして市販。
  • マローブルーが持つアントシアニン色素の構造は水溶液の性質によって変化する。 (アントシアニンはアントシアンの発色部分であるが、「アントシアン」という名称は1835年にMarquartが青色の花の色素に対してつけた造語(anthos(花)+cyanos(青色))である)
  • アントシアニン色素は、ムラサキキャベツ、ブルーベリー、ナスやサツマイモの皮の部分などに含まれる。
  • クエン酸はレモンやグレーププルーツ、梅干しなどに含まれる。強い酸味(酸っぱい味)を呈す。
  • 重曹は炭酸水素ナトリウムで弱アルカリ性。クエン酸と反応して二酸化炭素を発生。手作り炭酸飲料にも利用される。
  • 草木灰(そうもくばい)は草木を燃やしてできた灰で強いアルカリ性をもつ。肥料として市販されている。
  • 食卓塩は炭酸マグネシウムなどが含まれるため、弱いアルカリ性を示すことがある。試薬の塩化ナトリウムを使用する。
  • アルカリとは、アラビア語で草木を燃やしてできた灰の意味を持つかまどの灰は洗剤として使われていた
  • 使用する多穴プレートは、もともとは細胞培養等に使われるものだが、現在はマイクロスケール実験用として「マイクロプレート」「セルプレート」の名前で、教材会社などでも入手可能である。

資料:

準備:

材料名補足数量
24 穴プレート 例えばアズワンVTC-P24 1枚
2mL スポイト 例えばポリスポイト(三商93-1853 2個
25mL チューブ 例えばIWAKI遠沈管(水 20mL 入れておく)
マローブルー(ハーブティー) A8チャック付き袋に入れて水出しする つぼみ5~6個程度
チャック付き袋 A8サイズ 3枚
試薬入りマイクロチューブ 試薬(クエン酸、食塩、グラニュー糖、重曹、草木灰)をマイクロチューブに分注 各1個
下敷き用シート 1枚
ワークシート 1枚
pH試験紙 pH1〜14の試験紙とカラーチャートも準備すること 適量

観察・実験:

題目内容画像所要時間
1.おさらい 酸性やアルカリ性とはどんなものでしょうか?
その液性を調べるときに使う道具はどんなものがある?
2.指示薬をつくろう! ①マローブルーをA8サイズのチャック付き袋にいれる。
②チャック付き袋に水20mL(チューブの目盛で量りとる)を加える。
③こぼれないようにチャックを閉じて置いておこう。
3.なぞの粉の正体は? <準備> ①24穴プレートを下敷きの上に置き、上の2段に5種類(A~E)の粉を少量加える。
<重要>それぞれの粉が所定の穴以外に入らないように注意!!
→入れるときのコツ1:マイクロチューブの蓋をプレートの上で空けないようにしましょう。
→入れるときのコツ2:マイクロチューブの中の塊を砕くように最初にふっておき、加えるときも慎重に入れましょう。
②黒い下敷きの上にプレートをのせましょう。
4.なぞの粉の正体は? <その1 見た目は?> ①各粉を観察し、「粉の特ちょう」に記入しよう。
②各粉がどの粉が予想しよう。
5.なぞの粉の正体は? <その2 水に溶ける?> ①各粉が水に溶けるかどうか予想しよう。
②1段目に入れた粉にスポイトで水を1mLずつ加え、かるく混ぜよう。結果を「液の特ちょう」に記入しよう。
6.なぞの粉の正体は? <その3 液性は?> ①2段目の粉にマローブルーの指示薬を2mLずつ加えよう。
<注意>スポイトで吸い取るときになるだけ液だけ吸い取るようにしよう。
難しい場合には、25mLチューブにチャック付き袋から液だけ移して、チューブから吸い取るといいよ。
7.なぞの粉の正体は? <最終判断> ①これまで行ってきた調査から、各粉が何かを予想しよう。
<補足 その1>なぜそのような予想を立てたのか、結果をもとに考えた過程を説明できるように準備しておこう。
<補足 その2>他にどのような実験をしたら粉の正体を突き止められると思う?
8.答え合わせと液性の確認 ~pHを調べてみよう~
9.【探究1】マローブルー以外に指示薬になりそうなものはある? ・ゆかり
・ターメリック(うこん)
・紫キャベツ など
10.【探求2】各溶液を混ぜると何がおこる?

資料:

実験レポ

比べやすい。

匿名さん 岩手県 教職員

うずらの卵パックとかで代用もできるかなと。いろいろネタが思いうかびました。たくさん速く調べられる。マローブルーやバタヒライピーなど たべられ...もっと見る

匿名さん 東京都 教職員

減災以外の場面でもヒントになりそうです。 

匿名さん 愛知県 教職員

マローブルーの色の変化が、とてもおもしろく、科学の不思議・楽しさに触れることができました。 

匿名さん 岩手県 教職員

粉がこぼれて、色がちがってしまうことを予想しなかったので、うまくいかない児童がいた。ほとんどがうまくでき、よくわかった。 

匿名さん 長野県 教職員
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